トルクメニスタンを中心に中央アジアで遊牧生活を送っていたトルクメン族の一部により、アムダリア川流域で織られたベシール絨毯と総称される物です。縦約38㎝、横約136㎝です。19世紀末に織られたアンティークとの事です。トルバという横長の収納袋の装飾面です。日用品等を入れてテント内に吊るして使用する物だそうです。袋の裏側と下部に長いフリンジが付いたはずですが、現在は失われて袋の表側だけの状態です。ウズベキスタンのイカット(絣)をモチーフにしたと言われる柄です(乙嫁語りをご存知の方は双子の姉妹の住んでいる地域の人々の衣装をご確認下さい)。トルバの柄にも様々なバリエーションがありますが、イカットモチーフの中でも比較的珍しい物では無いかと思います。一見するとユルさのあるのんびりした風情ではありますが、絣ならではの無作為な雰囲気を出そうと、かなりの計画の上に織られた物ではないかと思います。トルクメン族は赤を特に好むとの事ですが、こちらも微妙にニュアンスの異なる赤を数種使用しています。絣特有の色ムラをイメージした配色のようです。ほんの一部は合成染料由良のようで、わずかに色移りがあります。写真三枚目をご参照下さい。それ以外は天然染料由来の色かと思います。青緑と黄色もとても美しいです。はっきりした色遣いですので室内でも綺麗ですが、太陽光の下では写真一枚目のように暖かみのある色合いに見えます。用途の為かパイルの磨耗はわずかで写真四枚目のように右下に集中しています。他の部位はフサフサと密な状態です。上端は三つ折りでかがられていますが、下端はフサ留めされていません。飾りとしてなら問題ないと考えて現状のままで保管していました。左右の縁は多少の擦れがある程度でしっかりしています。購入時は非常に汚れていましたのでウール用洗剤で洗濯しました。我が家では壁飾りとして数週間使用したのみです。オールド キリムから始まり、トライバル ラグ・部族系絨毯と言われる毛織物にはまり、数年前にオランダのディーラー様から譲り受けたものです。収納整理のため出品します。オールドキリムや絨毯がお好きな方、古い手工芸品に理解のある方にお譲りしたいと存じます。長い年月を経てきたなりの難がありますが、作成し使用してきた人々や歳月に思いを馳せつつ、現状のまま愛でて下さる方の購入をお待ちしております。